病気になってももう安心、情報との付き合い方

日本経済新聞が「がん・心臓病・脳卒中の地域格差」、「老衰の地域格差」という記事の中でがん・心臓病・脳卒中・老衰による死亡率、1人当たりの医療費の情報を全国の市町村ごとの地図にして公開しました。市区町村まで細かく分類された情報は初めて見ましたが、後期高齢者の医療費の市区町村別は日経が独自に1700を超える自治体について調査をしたと記事の中にあるので、中々珍しいデータのようです。

 

各都道府県の平均寿命の話題と合わせて、東北は塩蔵品を好む傾向があるから平均寿命が...、〇〇がんは地域傾向が...なんて噂を耳にしますが、今回のデータを見る限りある市では肺がんによる死亡率が高いのに、隣接する市では肝臓がんによる死亡率が高い、その隣の市はそもそもがんによる死亡率が全国平均よりも低い、(極端に書きましたが)地域のバラつきが大きすぎて噂の信憑性がどれほどあるかを判断するのは難しそうです。その一方で、今回公開されたデータが遠方の病院に通院している患者をどのようにカウントしているのか等を考えると、どこまで正確に病気による死亡率を表しているのかも悩ましかったりします。

 

私たちは精神的に追い込まれた時にはワーストケースの情報だけを集めて自分を追い込むケースと、都合の良い情報ばかりを集めて現実逃避をするケースがあります。今回のケースのように情報は提供した人の主観がどこかに入っているので、あなたにとっては不完全なもの、ある側面からはもっともらしく見えるし、別の側面からは別の見え方をするものです。見方によって結論が変わってしまうので、情報自体はあなたの決断にはなりえません。

 

実は、情報の表現方法は専門家にとっても大きな壁になっています。例えば、X線治療はがんの標準治療の1つですが、X線は治療の特徴からターゲット臓器の前後の臓器にも影響が出てしまうので適応臓器の制約を受けますが、粒子線治療はピンポイントでターゲット臓器を治療できます。これだけを見ると粒子線治療の方が治療の効果が高い気がしますが、生存率で比較をすると治療をする臓器によってはX線治療と粒子線治療は大きな違いがないという研究結果が報告されて、保険の効かない粒子線治療をする必要があるのかが議論されています。生存率以外の表現方法が研究されているので、今後の経過を我々も見守る必要があります。

 

情報をうまく使うためには、あなたの主観(考え・気持ち)をスパイとして加えて1つの料理として、あなた自身のこころの中にインプットすることが大切です。情報はそのままでは食材の1つなので、そのまま食べると腹痛を起こしたり、そもそも美味しいくもないですよね。スマホやPCで膨大な情報に簡単にアクセスできるようになった今、情報との付き合い方を知っておいて損はありません。

 

<日経新聞>

https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/health-expenditures-topics1/